cяimson moon 赤い月 extra
…意味不明。
キツく抱き寄せる腕が細かく震えているのを感じて、うさぎは閉じていた目を開いた。
恐る恐る上目遣いで景時を見上げるが…
「バカ!!」
怒鳴られて、またキュっと目を閉じる。
だが、一瞬だけ見えた彼の顔は、泣き出しそうだった。
心配していたのだろう。
あの少女の両親のように。
心配してくれる人がいる。
あの少女のように。
愛されているのだ。
自分も。
「景時…
すまなかった。」
うさぎは細い腕を景時の背に回し、頬を彼の胸に擦りつけた。
景時の腕の震えがピタリと止まり、代わりに硬直する。
「そなたから逃げようとした訳ではない。
もう勝手に出掛けたりすまい。
許してくれ。」
うさぎは赤くなって固まる景時に身を預けたまま、横目で開け放たれた窓から覗く月を見た。
うさぎを呼び続ける、美しく、青ざめた、月を。
(すまぬな。
まだ、そなたに寄り添う訳にはいかぬようじゃ。)