ブラックコーヒー
あの子がいなかったら…俺はまだ、早織の影を追っていただけだったろう。



「…ごめんね、斗真。」

「早織…。」

「本気で付き合ってたのは今の旦那だった。斗真は浮気だった。」



そう開き直って胸を張って言った早織。
そんな早織に俺は呆れることしかできなかった。



「…だけど……本当に、好きだった。」

「早織…。」

「素敵な時間をありがとう、斗真。」



そう微笑んで颯爽と去ろうとする早織。



「待てよ!」



そんな早織を俺は、いつの間にか呼び止めていた。



「なんだよ、自分ばっかり…!」
< 123 / 382 >

この作品をシェア

pagetop