ブラックコーヒー

□欲張りな心

戻ってきた内村くんは、杏を連れて行ってしまった。



「何話したの?」

「ん? 宣戦布告されちゃった。」

「宣戦…布告?」

「うん。」



そう言って私の手を繋ぐ。
そして斗真の車に向かって歩き出した。

手…初めて繋いだ…!



「ってか、余計なこと言わないの。」

「へ?」

「杏ちゃん。怒られちゃったし。」

「あ。」



トラウマの話かな…?
やっぱ嫌…だった、よね。



「まぁ、いいけど。」

「ご、ごめん…。」

「その代わりあとでチューしてね。」

「へ!?」

「美由里から。」



スッと私の唇をなぞった斗真に、心臓がおかしくなりそうだった。

まさか…そっちが目的…?
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