ブラックコーヒー
目にはうっすらと涙が浮かんでいた。



「美由里…よかった…。」



何がよかったんだって感じだけど。
会えただけで嬉しくてホッとしたんだ。

俺は美由里の腕を掴んで言った。



「…逃げないで。」

「……。」

「…ちゃんと話そう。ってか話、聞かせて?」



そう言うと、美由里は驚いたように顔を歪めた。



「…渡部は、いいの?」

「尻拭いは一樹に任せてきたから大丈夫。」

「……そっか。」



そう言って美由里は俯いてしまった。


そんな美由里の手を取って歩きながら、出会ってからを思い出していた。
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