やわらかな夜
「その出来事があったのは、シュージと出会って抱かれた日のことだった。

あの時のあたしもシュージと一緒で失恋のショックでヤケになってたの。

だから酔っぱらったヤツをひっかけて、抱かれようみたいな。

バカなもんでしょ?」

そう言ってあかりは自虐的に笑った。

「最初は躰の相性がよかったからシュージと一緒にいるだけだって、何度も自分に言い聞かせてた。

シュージも、失恋した相手の身代わりとしてあたしを置いてるだけだって。

だけど、ごまかしなんて案外効かないものなんだね」

あかりはまた息を吐くと、
「恋した自分の気持ちをごまかすのは無理だった」
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