やわらかな夜
「呼んだげなよ、シュージ」

聞き覚えのある声に視線を向けると、
「――あかり…」

あかりは俺の隣に腰を下ろした。

「全く、誰があーなのよ」

「あらヤだ、聞いてたのん?」

「嫌でも聞こえる」

そう言ったあかりに、理人さんはバツが悪そうな顔がした。

「聞かれちゃ困るんだったら気をつけてよね、兄貴」

あかりは呆れたように息を吐いた。

ほらねと、理人さんが目で俺に言った。

すぐにあかりが理人さんをにらんだ。
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