お姫様の作り方
「それで、お前はどうしたいんだよ?」

「え…?」

「そこだろ、一番重要なのは。俺に電話で漏らした会いたくない、行きたくないは本心なのか?」


私は頷いた。それは本心だ。


「…笑わないで聞いてくれる?」

「俺がお前の話を笑ったことがあったか?」

「ない。」

「ちゃんと聞くからちゃんと話せ。」

「…うん。」


迷いも躊躇いも何もかも、一瞬で吹き飛ばしてしまう強い言葉に励まされて私は口を開く。


「…私…。」

「うん。」

「恋をしたことがないの。」

「そっか。」

「…うん。だって私にはいつかお見合いの相手が来て、私の意志とは関係なくその人と結婚するものだと思ってたから。」

「うん。」

「でも…本当は…。」

「うん。」


でも、本当は…ずっと、願ってた。心は自由でしかいられないから。だから…





「ずっと…誰かと恋がしてみたかった。お父様の紹介でも何でもなく、自分の意志で誰かを好きになってみたいって…ずっと思ってたの。」





ずっとずっと思っていた。
自分の家のことを気にせずに自由に恋がしてみたい、と。
こうして目の前にいざ〝決められた未来〟をやんわりと突きつけられてみて初めて、ちゃんと自覚する。


私は自分の意志で人を好きになりたかった。

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