お姫様の作り方
【不器用な君へ】


「そして最後は3年の会田真鈴さん、そしておぉーっとこれは大変身ですね!大神泰雅くんです。
真鈴さんは黄色のドレスがとても似合っています。上でまとめた髪も素敵です。それに胸元の赤いバラのブローチがとても良いアクセントになっていますね。
そして大神くんは普段の人を寄せ付けないイメージとは一変!高身長が王子様らしさを際立たせています!かっこいい!」


妹から移るライトは眩しすぎた。…それにまさか、自分が呼ばれるとは思っていなかった。ひとまず彼の隣にいられれば、後夜祭はそれで良かったのに、舞にせっつかれてこんな服を着る羽目になってしまった。


「…似、合ってる…ぞ。」

「ありがとう。あなたも、大変身ですって。」

「っ…そ、それは別にいいんだよ!」

「かっこいいって言ってるわよ。」

「そこも拾わなくていいんだって!」

「でも、この1年で随分友達が増えたじゃない?段々周りもあなたを分かり始めている。…私、それがすごく嬉しいの。」


とても嬉しい。それこそ言葉で表すには足りないくらいに。


「…でも、なんだかんだ一番分かってるの、お前だけどな。」

「え…?」

「えってなんだよ。お前が一番俺の近くにいるんだ。当然…だろ?」


少し照れて赤くなった頬。この赤さは自然と伝染する。
もうすぐ彼と出会って1年になる。1年経っても、彼のこういうところは何も変わらない。…多分本質的に彼はほとんど変わっていない。変わったのは周囲。彼を見る目。ただ、それだけ。


私は彼の温い手に触れた。


「っ…な、なんだよ。」

「何って仮装ダンスパーティーでしょ?じゃあ踊らないと。」

「踊るとか…俺にできるわけねぇだろ!」

「私だって踊れないわよ。こういうのは雰囲気でしょう。手と手を取り合って向かい合っていれば踊っているように見えるわよ。」

「無茶言うな!」

「いいから、王子様?エスコートしてよ。」

「っ…分かったよ。」


彼が私に掌を差し出す。私はそれにそっと手を重ね、彼が私の歩幅に合わせて歩み出す。


「…結構周り、レベル高ぇぞ。」

「気にする必要なんてないわ。」

「は?」

「私達のペースで、楽しみましょう?」

「お…おう。」


*fin*

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