お姫様の作り方
「ほーらほらほら、今日もまた白雪姫様は注目の的だね～？」

「そのイヤミったらしい言い方はなんとかならないの？」

「だってほら、今日もギャラリーたーっくさん。」

「…嬉しくないってば。」


…どうやってこの会話から抜け出そう。本当にお腹がなる。お腹減った。


「…白雪さん、今日もめっちゃ可愛い…。」

「なんであんなに色白いんだろー…。」

「髪もつやつや～！」

「…マジで落としたい。」


『白雪』、それはなぜかいつの間にか広がっていたあだ名だ。もうかれこれ1年以上そう呼ばれれば嫌でも慣れる。


この空腹を抱えた今、本当はこんな会話なんてどうでもいい。
とにかく邪魔なのはこの見た目だ。



『雪姫、そんな食うの？そんな見た目で？全然合ってねぇーよ！』



〝見た目とイメージが違う〟
そんなのは周りが勝手に決めたことだし、本当ならばあたしには全然関係のないことだ。でも、こう言われていい気は全くといっていいほどしない。…あー嫌な記憶が蘇ってきた。



「…次、サボるー。」

「え、雪姫！」


あたしはいつもお菓子やパンを入れている小さなバックを持って教室を出た。教室を出たあたしに刺さる視線はいつも通り。さらに言えば、周りの人が道を開けてくれるのもいつも通り。

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