自己チューなアラサー転勤族主婦の妊娠日記
10月24日(水)


 昨日のメールで、姉は「自分のしたいようにしたらいいよ。親にも言う必要ないよ」と言ってくれた。

 それから、姉の友人で子供を産んだ人の体験談も教えてくれた。



 姉夫婦は、共働きで去年立派な家を建てている。

 夫婦はとても仲が良くて、海外に行ったり、好きなものを買ったりして二人の生活を楽しんでいる。


 私は姉夫婦の生活スタイルに憧れている。






「あんまりいいアドバイスはできないけど、愚痴なら聞くから」と言ってくれた。



 午後、東京に住んでいる大学時代からの友人Sから、久しぶりにメールが届いた。

「最近どう? 元気??」


 半年ぶりくらい。


 このタイミングで。かなり驚いた。



 一瞬、相談しようかと考えたけれど、止めた。

 もし中絶するのなら、知られたくない。
 そんなことで、Sは私を嫌ったりはしない。


 ただ単に、私の身勝手なプライド。


 つまり、私が中絶を躊躇っているのは、手術が怖い(それも大いにあるけれど)だけではなく、世間体を考えているのだ。



 新しい命についてのことなんて、これっぽっちも考えられない自分にゲンナリした。





 夜、夫が「中絶手術も出産も、どっちも怖いなら産む方にしたら楽しいんじゃない?」と言った。


 カッとなった。


「産まれて終わりじゃないんだよ? 大阪で、あなたは一日中仕事があって、結局子供育てるのは私なんだよ? 大阪に慣れるのだって一年以上かかったのに。イベコンの仕事見つけて、なんとか寂しさを紛らわしてたのに。子供とずっと家で二人きりでいるのは私だよ。妊娠したら体型だって変わるんだよ! 今までずっと頑張って維持してきたのに! 吐き気がしてるのも私だけ! お酒だって飲めない!! 何が楽しいの?」




 ヒステリックに泣きわめいた。



 夫は無言で背中をさすってくれていた。




 もう嫌だ。





< 8 / 248 >

この作品をシェア

pagetop