結婚白書Ⅱ 【恋する理由】
出会いは突然に・・・


テーブルの上の招待状を手に取り あらためて見た

淡いピンクのレース模様が印刷され いかにも彼女らしい色づかい


広川 円華 様


彼女の見慣れた字が懐かしく思えた

今日は和音ちゃんの結婚式だった


ウェディングドレスは 優しげな彼女の肩からドレープが長く伸び 

柔らかい曲線を作っていた


素敵な新郎は 彼女の足下に気を配りながら

ゆっくり 大事そうに彼女をエスコートして入場してきた 


あぁ 彼女はこんなに大事にされてるんだ きっと幸せになれる

本当に嬉しかった



和音ちゃんは会社の後輩

私と歳は離れているが 彼女のお姉さんが 私の高校の後輩ということもあり 

入社時から親しくしていた


二年程前 和音ちゃんが つきあっていた彼と別れると 電話をくれたのは

真夜中だった



「これ以上つきあえないからって 彼 気持ちが離れてるって・・・」


そういっていたが


「彼には 他につきあっていた女性がいて 

彼女に子供が生まれるって言われて・・・

別れるしかないでしょう? 円華さん・・・そう思うでしょう?」



二人で泣きながら話した



「和音ちゃんは彼のことを それであきらめられるの?」


そう聞くと


「彼 気持ちは別れたくないって言うけど 子供がって・・・

子供のために結婚しようとしてる人なの

それが彼の正直な気持ちだったら それでもいいんじゃないかって思った

仕方ないなって・・・そしたら気持ちが整理できたの」



とってもいい子で いつもにこにこ人の話を良く聞いて

ちょっと意地っ張りなところもあるけれど そこがまた可愛くて

その後 お見合いした彼と結婚すると聞いたときは



「お見合いなんかで結婚を決めていいの?」



真剣に心配した

でも・・・彼を 高志さんを紹介されたとき 心から


「和音ちゃん いい人に巡り会ったね おめでとう」


そう言えた





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