結婚白書Ⅱ 【恋する理由】
キスの余韻に戸惑って


ベッドに入っても なかなか寝つけなかった

さっきの自分の姿を思い出すだけで 体中が火照ってくる


唇を離した後



「これで信じてもらえました?」



工藤君の問いに 黙っているしかなかった



「残念だなぁ でも わかってもらえるまで待ってますよ」



待ってる?

何を?

私がアナタを好きになるのを待ってるって?


わからないわ・・・

そんな思考回路を理解しろって言うワケ わからない

なんで私がアナタを好きにならなきゃいけないのよ



わからないけど・・・



彼の思いは充分受け止めたような気がする

唇を伝わって ドクンドクンと流れ込んできたのがわかった

あれはウソじゃない


それほど深いところで 思いを感じたキスだった

いきなり唇を重ねられ いつもの私なら抵抗するだろうに

彼の強引な態度に驚きながらも 彼に何かを求めていた


私 どうしちゃったんだろう



キスの後も 二人で手を繋いで タクシーが拾えるところまで歩いた



「わかってもらえるまで 待ってますよ」



彼の言葉が 繰り返し私の中で響く・・・





でも どうして私なの?



考えても 考えても そこがわからないところ

工藤君が 私を好きだと言った

でも なぜなの?

考えは 堂々巡り





熟睡できないまま朝を迎えた

どんな顔をして会社に行けばいいのよ

彼に会わずに過ごすしかないわね・・・

会えば 私 何を口走るかわからないもん




久しぶりに自分の車で通勤した

この二週間 朝夕 一時間近く 彼と車の中で話をした


いい加減なヤツでも ふてぶてしいヤツでもなかった


どうして私なの・・・また考えがそこにいく



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