結婚白書Ⅱ 【恋する理由】
それは思いがけず始まった


中途採用のため 彼と接する機会は多かった

あらゆる手続き 書類の提出 

そして 不備な点を指摘して再提出してもらう

面倒くさがりなのか いい加減に書いてくる



「ねぇ どうして一回で完璧に提出できないの?

記入の仕方はここに書いてあるでしょう! 

これを見ながら書けば間違いないのよ」



つい 声を荒げてしまう

それなのに 反省するどころか



「そうですか? ちゃんと書いたつもりだったんだけどな

書いてないところがあったら 書いといてよ」



ちょっと なによ

先輩に向かって その言葉遣い!


叱りつけようと思ったら もう姿が消えている

仕方なく 彼の部署に私が出向くことになる

この繰り返し・・・


それなのに 女の子達からは なぜか羨ましがられた



「広川さん 工藤さんと話ができていいですね 

工藤さんって なかなか話をしてくれないんですよ 

仕事が口実なら話が出来るかも 私 いつでも その仕事を替わります」



みんな勝手なことを言う


製造部の課長に 新人工藤のいい加減さを訴えた

ところが・・・



「彼 即戦力だよ 仕事もできるが 人間関係が上手いね

現場の 歳の離れたおじさん連中相手に 根気よく仕事をしてるよ」



彼の意外な一面を聞いた




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