水面に浮かぶ月
「俺はもっと大きくなるよ。ふたり共、ついてきてくれる?」


強い瞳で言う光希。

ふたりはうなづきを交わし、



「当然ですよ。なぁ? 優也」

「あぁ。光希さんといると、おもしろいことばかりだしな」


顔を見合わせて笑う。



「で? 光希さん。次は何に手を出すつもりですか?」


優也は前のめりに聞いてきた。

光希は咥えた煙草の煙を吐き出しながら、



「将来的には、表の仕事を」

「表って?」

「美容院。それから、ネイルサロン。エステもやりたい」

「なるほどね。どこまでも女を繋ぐのが上手い人だなぁ、光希さんは」


光希の一言で、優也はすべてを理解したらしい。


外側も内側も、心も体も、女の何もかもを満足させる。

ループの中に放り込めば、女は自らでハマってくれるのだから。



「手っ取り早く稼ぎたかっただけで、いつまでもやばい仕事に足を突っ込んでいられないし」


光希は改めてふたりに目を移した。



「だから、その時まで、お前たちは客を離すんじゃないよ」

「任せてくださいよ、光希さん。俺たちは、そこらのホストとは訳が違うんだ。見せてやりたいくらいいい仕事してるんだから」


シンはにやにやしながら言う。

光希もつられてまた笑ってしまった。


頼もしい限りだ。

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