香水
「さ、耳貸せ」
「う、うん」
あれから私たちはデパート内にあるカフェに入ってさっそく彼に買ってもらった香水の封を開けた。
彼は楽しげに自分が買ったソリッド・パフュームを手に取り、私の耳朶につけてくれた。
その途端、ふわっとグレープルーツの爽やかな香りが私を包む。
「うん。やっぱりこれにして正解だな。俺、お前の香水選ぶの癖になりそう」
彼は笑って私にそう言った。
「・・・・・・・・・ありがとう、香水選んでくれて」
「俺とデートの時はそれ、付けてな?けど、他の男の前ではつけるの禁止」
「え?」
「お前のその香りを間近に嗅いでいいのは俺だけの特権」
「なななななん」
真っ赤になる私の耳元に彼は唇を寄せて次にこう囁いた。
「他の男がお前の香りに引き寄せられても困るからな」