ビロードの口づけ 獣の森編


 これまで側に仕えていたモモカより随分若く見える。
 実際にクルミより年下なのかもしれない。


「聞いているだろうけど、私は人間なの。獣の社会の事、何も分からないからあなたに教えて欲しいの」


 クルミの言葉に、ミユは一層目を輝かせた。


「はい。私に分かる事でしたら、喜んでお答えいたします。何なりとお尋ね下さい」
「ありがとう」


 仕事に一生懸命な様子がなんだかかわいい。
 クルミが微笑むと、ミユは遠慮がちに少し上目遣いで尋ねてきた。


「あの、私も人社会の事、教えて頂いてもいいですか?」

「えぇ。でも私、ずっと屋敷に閉じこもっていたから、流行とかはあまり詳しくないけど」

「きゃーん。うれしーっ。私、奥様が大好きになりそうですぅ」

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