ビロードの口づけ 獣の森編


「でも私は一度に多くの子どもを産む事はできません。優秀な血を引く子孫をたくさん作らなければならないんでしょう?」

「ミユから色々聞いたみたいだな。あんたもあいつに負けず劣らず好奇心旺盛なようだ」


 クルミの髪を撫でながら、ジンは頭の上に口づけを落とす。


「優秀な子孫を残す事は重要だが、それに捕らわれる必要はない。昔のように人を敵と見なし、森の中だけに閉じこもって暮らしていた時代とは違うんだ。人社会との交流が進めば、優秀な者は自然に増えていく」


 一旦クルミから離れて片手をついて身体を起こしたジンは、上からクルミを見下ろした。
 しなやかな指先がクルミの胸元に伸びて、ゆっくりと寝間着のリボンをほどいていく。


「オレはあんたがいればいい。もう、あんたしかいらない。あんたもオレだけを見ていろ」

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