ビロードの口づけ 獣の森編


 頬を軽く撫でられてクルミはゆっくりと目を開く。
 思わずジンの首にしがみついた。


「私はあなたの妻なんですよね?」


 ジンはクルミを抱きしめて横に転がった。
 なだめるように髪を撫でる。


「あぁ。改めて訊く事か?」

「ずっと妻でいられますか? 次の満月が来ても。来年になっても。私が子どもを産めなくても」

「結月の事を気にしているのか?」


 クルミは俯いたまま小さく頷く。


「結月になったら、あなたはたくさんの女から誘われるんでしょう?」

「誘われるだろうが、応じない。あんたが手に入ったんだ。あんた以上の女はいないからな」

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