モルフェウスの誘惑 ※SS追加しました。
一ノ瀬かの子は
別荘のテラスに出て
一人庭の木々を眺めていた
「杜…ちっとも変わらない」
「かの子、ここにいたの?」
声を掛けてきたのは
かの子の主治医であり、
婚約者の滝川 桂一郎(たきがわ けいいちろう)
だった
滝川 桂一郎は見るからに青年医師と言った
風貌で髪は短く切り揃えられ
色も勿論、黒だ
前髪は整髪料で軽く上げており
くっきりとした二重瞼が
より一層引き立っていた
普段から鍛えているのか、
そこそこの筋肉を纏い
見るからにーー
一見、ラガーマンの様に
ガッチリとした男だった
滝川はかの子に
そっとショールをかけてやった
春先とは言え
まだまだ長野県は冷える
「それで?
誰が、ちっとも変わらないだって?」
滝川がかの子に問う
「えっ、なんでもないわ」
「もしかして、愛しの弟くんの事かい?」
含み笑いを浮かべながら
滝川が言う
「聞こえてたなら
わざわざ確認しないでちょうだい」
「お気に召さなかった?
僕だってただの男さ
例え、相手が弟であろうと
無駄に嫉妬くらいするんだよ」
そう言いながらかの子を後ろから抱きしめ
かの子の透き通るような首筋に
唇を這わす
「やっ、止めて
こんなところで
ご近所に見られたら
恥ずかしいじゃない…」
「この時期にご近所はいないよ
君だってよく知ってるくせに」
そう言いながら
手はかの子のブラウスの裾を
たくしあげようとする
「桂一郎、止めてって」
「かの子ーー
僕がどれだけ待ってると思ってるんだ?
いつまで僕を君の婚約者のままに
しておくつもりだい?」
かの子は抵抗を止めた
結局、いつもこうして
最後は諦めるのだ
諦めながら自分は
滝川に抱かれるんだ
誰かを思いながらーーー
かの子は
目を閉じ滝川の愛撫を受け入れた
「いい子だ、かの子
部屋に行こう
主治医の僕が君に風邪を
引かせるわけにはいかないからね」
テラスから部屋へ入る瞬間
かの子は思った
二度と春なんか来なければいいのに…と
別荘のテラスに出て
一人庭の木々を眺めていた
「杜…ちっとも変わらない」
「かの子、ここにいたの?」
声を掛けてきたのは
かの子の主治医であり、
婚約者の滝川 桂一郎(たきがわ けいいちろう)
だった
滝川 桂一郎は見るからに青年医師と言った
風貌で髪は短く切り揃えられ
色も勿論、黒だ
前髪は整髪料で軽く上げており
くっきりとした二重瞼が
より一層引き立っていた
普段から鍛えているのか、
そこそこの筋肉を纏い
見るからにーー
一見、ラガーマンの様に
ガッチリとした男だった
滝川はかの子に
そっとショールをかけてやった
春先とは言え
まだまだ長野県は冷える
「それで?
誰が、ちっとも変わらないだって?」
滝川がかの子に問う
「えっ、なんでもないわ」
「もしかして、愛しの弟くんの事かい?」
含み笑いを浮かべながら
滝川が言う
「聞こえてたなら
わざわざ確認しないでちょうだい」
「お気に召さなかった?
僕だってただの男さ
例え、相手が弟であろうと
無駄に嫉妬くらいするんだよ」
そう言いながらかの子を後ろから抱きしめ
かの子の透き通るような首筋に
唇を這わす
「やっ、止めて
こんなところで
ご近所に見られたら
恥ずかしいじゃない…」
「この時期にご近所はいないよ
君だってよく知ってるくせに」
そう言いながら
手はかの子のブラウスの裾を
たくしあげようとする
「桂一郎、止めてって」
「かの子ーー
僕がどれだけ待ってると思ってるんだ?
いつまで僕を君の婚約者のままに
しておくつもりだい?」
かの子は抵抗を止めた
結局、いつもこうして
最後は諦めるのだ
諦めながら自分は
滝川に抱かれるんだ
誰かを思いながらーーー
かの子は
目を閉じ滝川の愛撫を受け入れた
「いい子だ、かの子
部屋に行こう
主治医の僕が君に風邪を
引かせるわけにはいかないからね」
テラスから部屋へ入る瞬間
かの子は思った
二度と春なんか来なければいいのに…と