先輩~梨奈~
先輩との付き合い

過去の女

あれから、あたしと先輩は超ラブラブ~
なーんて、あの先輩相手には絶対なさそう…

でも、何気なかよくやってる。
帰りなんかも、自分は歩きのくせに間逆のあたしの家まで送ってくれる。
あたしの学チャリをおしながら。

三年で勉強もあるのに、あたしの部活が終わるまで待ってられた時はさすがに断ったけど。

ちなみにあたしは今、部活帰りの道を一人でチャリをおして歩いてる。
なんか、悲しいなぁ…。
なーんて考えてたら、後ろから声をかけられた。

「相変わらず、仲いいな。
 お前らカップル」

「へぇっ?!」

声の主はリュウトだった。
あまりの驚きに、変な声が出てしまった。
あー、恥ずかしい。

「なっ…
 あぁそーですよ。
 相変わらずあたしは先輩からチキンって呼ばれてますよーだ」

もう、ほんっとムカつく。
チキンで悪かったな。
でも、そんなことでイチイチ話しかけんなっての。

「いや。
 そのことじゃなくて…
 
 つーかアイツ、お前のことチキンって呼んでんのか?!」

あたしがチキンって言った途端、リュウトの表情が一変した。
まるで、狐につままれたような感じで。

「え…な、何?!
 あたしは前から先輩にチキンって呼ばれてたけど、それがどうかしたの?
 
 ねぇっっ、リュウト!」

あたしがリュウトのジャージの裾を握って訴えても、リュウトは真っ青な顔をしたまま何も教えてくれない。
たとえ嘘でも、せめて何か言って欲しい。
だって、こんな深刻な表情したリュウトは見たこと無いから。

「リュウヤから、何も聞いてない?」

「う…ん。
 先輩からは何も」

リュウトが何のことを言っているのか、あたしには全くわからなかった。

「あの…さ。
 俺等にもう一人、妹がいたのはきいてる?」

「う…ん
 聞いてない…けど」

「実は…俺らの下にもう一人、血の繋がらない妹がいたんだ。
 千尋って言って、ちぃって周りからは呼ばれてて」

そう言うとリュウトはまた、口を閉ざした。
そして、少し経って又、リュウトは重い唇を開けてゆっくりと話し出した。



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