続・結婚白書Ⅱ 【手のひらの幸せ】
未来へ


子どもはすくすく育つと言うけれど その通りだと思う

日に日に変化する鈴を目の当たりにして 子どもの成長のめざましさを

実感した一ヶ月だった

もう少し休暇をとりたいところだが 仕事の関係でそうもいかず 

俺は職場に復帰した

昼間は鈴と二人になった円華は 最初の頃は不安そうだったが 

近所の公園で知り合った人の紹介で地域の育児サークルに入り 

この頃は楽しそうに過ごしている

同じくらいの子どもを持つ母親同士 情報交換やおしゃべり 家々の訪問と 

上手く付き合っているようだ

円華は母親の中では年齢が上らしく みんなから頼られるのも満更ではない

様子だった



「早い子はね こんな小さなうちから早期教育を始めるんだって 

そんな話を聞くと焦っちゃう」


「早期教育? えーっ まだいいよ 遊べるうちは遊ばせなきゃ

勉強なんてどうやってさせるんだよ」


「英語のCDを聴かせたり DVDの教材を見せるだけでも違うって聞いたわ」


「そりゃまたすごいな 円華がどうしてもさせたいって言うのなら

反対はしないけど……」


「反対しないけど 要は賛成じゃないのよね……わかった もう少し考えてみる

じゃぁ ベビースイミングってのはどお?」



円華の話に笑い出してしまった こんなに教育熱心な母親になるとは

思わなかったな

英語はさておき スイミングはいいじゃないかと言うと 嬉しそうな顔をした

自分も産後の運動になるからと 翌日さっそくスイミングクラブに

入会してきたのには驚いた


泳ぐ二人をビデオにおめようと見学に行くと 鈴は水に浮かべられ

パシャパシャと手足を動かしていた

もちろん円華が支えているのだが 水を怖がりもでず達者にこなしている

将来は水泳選手か……なんて思っていると 周りにいた父親達も 

口々に同じことを言ってるのが聞こえてきた

はは……みーんな親バカだよ 俺もそうだけど

泳いだ日は疲れるのか 鈴はいつもよりぐっすり寝てくれて 

夜中に目を覚まさなくなった



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