思春期の恋



そよこ・・・



「こうしても、全然普通?颯子は」



こうしてもって・・・


後ろから腕ごと抱きしめられて・・・


あ。やばい・・・キャミの左の肩紐が、



肩からずれ落ちた。




直したくても、腕が・・・




その時、私の右側に頬を寄せている柊司が、肩紐のずれに気づいて、





そっと肩紐を元に戻してくれた。




そして柊司が私から離れた。



机に手をついて振り向くと、


柊司は部屋から出て行こうとしていた。



「もう・・・帰んの?」




柊司はドアの手前で振り向いた。





「帰るよ。お大事に」

そう言ってドアを開けて出て行った。



ちょっと・・・


追いかけたくても、今の私の足では無理だ。



何しにきたの。


柊司は何しにきたの。


小5のあの日から、他人みたいな関係になっていたのに、


いきなり部屋にきて、


抱きしめてきて・・・





私はまたひとりで、ベッドに腰掛けた。




自分の体に残る柊司の感触。





まだ、ドキドキしている。




なんでこんな気持ちに・・・





柊司にこんな気持ちになるなんて・・・







< 22 / 42 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop