思春期の恋
普通にできないだと?
どういう意味じゃ・・ボケ。
意味わからん。
私は普通にしてほしい。
小さい頃みたいに・・・
「普通にしてよ。
ほら、お菓子でも食べようよ」
私はベッドに手をついて片足で立ち上がろうとした。
すると、ぐいっと柊司が腕を引っ張って、私を立ち上がらせてくれた。
「ありがと・・・」
立ち上がっても、柊司はいつまでも私の腕をつかんだままだった。
目をそらしていた柊司がこっちを向いた。
「普通でいられんの?」
「は?」
「俺と部屋で二人きりでも、別に普通?」
「・・・?」
私を掴んでいるゴツゴツした腕
前髪の隙間から見える大きな瞳
形の整った綺麗な唇
綺麗な白い肌
シャープな輪郭
少し切なそうに首を傾げて私を見つめてきた。
ドキドキ
ドキドキ
やばい、心臓が暴れ出した。
私、柊司にドキドキしている。
「ふっ・・・普通だけど」
普通じゃいられなくなっている事がばれないように、
腕を引っ張り返して、柊司に背を向けて机の上のお菓子に手を伸ばした。
ぎゅっ
露出された肩に、柊司の温かい手のぬくもり
耳元に感じる柊司の吐息
今私・・・後ろから抱きしめられてる・・・
やばい・・・ドキドキが止まらない・・・
「颯子・・・」