† of Human~人の怪異
(俺も太い神経だな)

と思う。

ついでに、上野の要請してきた言葉が、脳裏に蘇る。

「小名木くんは、恐らく桜庭くんの標的になっていると思います。よって、アナタを保護するとともに、囮をお願いしたいんです。拒絶は、認めません」

やっぱり、自分は太い神経をしていると、再認識に再認識を重ねる。

最初に、上野は言っていたはずだ。小名木和幸は、危険な領域に踏み込んでいると。

そしてその危険とは、推測するまでもない、桜庭紅蓮との関係。彼が、自分を標的にしていることである。

人間をほぼ一瞬で丸飲みにし、天井を破壊するような相手に標的にされていると教えられ、さらには、囮にしたいと請われてなお、自分は錯乱していない。

いっそ錯乱してやりたいところなのだが、あの光景を目にした時と同様、接触した『事実』が大きすぎて、対処が取れない。

さまざまな意味で、麻痺に似ていると思った。
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