† of Ｈuman～人の怪異

教会の粛正任務を、ひとりで行うことは珍しくない。

人数を組むのは相手も複数であった場合であり、よほどのことでなければ、ひとに対し複数人で当たることはない。

むしろ、それが普通だ。

が、

「なぜ、そんな確認を？」

そういう体制は常日頃からわかっていることだというのに、あえて確認した区長の胸裏が、気になった。

なにか、あるのか。

桜庭紅蓮に。

区長が、うーん、と唸る。

『なにかあるというかね、小名木和幸がね』

「小名木くんが？」

予想とは、異なった名前が出てきた。

なぜ、小名木和幸の存在でこんなことを言われなければならないならかわからない。

なにか、あるのか。

小名木和幸に。

心中、主語が変わっただけで内容の変わらない疑問を抱く。

答えは、あっさりと教えられた。

『小名木、和幸くん、あれねぇ、一ツ橋さんの話じゃ†に近いらしいんだよね』

「小名木くんが？」

と、これも先ほどと同じ言葉。

ただ、トーンがやや跳ね上がっていたのを、自分でも感じた。