† of Human~人の怪異
あくまでも自重を訴えかける。しかし同時に、粛正の手も抜かない。

矛盾しているのではない。実直なだけだった。

が、

「そう、上野さんが、そうとも、僕を、僕が、腕を、蛇がね、超越しないと、上野さんが、僕が、蛇をね、うん……」

じゅるじゅるという気色の悪い音をあげながら、ゆったり両腕――もとい蛇を再生させる桜庭は、聞いていない。

気付けばもはや、言葉と言葉の繋がりがおかしい、独り言。

腕を何度も斬り落とされたことで、人間としての理性が壊れたのだろうか。

上野にはわからない。桜庭ではないから。

「桜庭くん、凶行をやめてください。条約に則り、まず、その蛇をしまってください」

「うん、僕も、そう、上野さんがね、そう、僕が、うん、うん、僕を、うん、上野さんだ、僕ね、そう――……わかった」

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