マイルド・ガールとワイルド・ボーイ3
どうして十六夜君がいきなり赤くなったのか分からず首を捻りながら自分の席に行くと、桑村君と荒井君が駆け寄って来た。


「み、幹居…楓と話してどうだった?」


「何か気づかなかったか?」


「………?何が?十六夜君、優しくていい人だと思ったけど」


素直に私がそう言うと、桑村君も荒井君も口を大きく開けて固まる。


“『あの』楓が優しい………!?”


クラスで唯一十六夜君を“楓”と名前で呼ぶ2人が呆然とするのを尻目に、私は


「あっ、2人だったら唯一じゃないか。何だろ?」


とか、能天気な事を思っていたのだった。
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