鮮烈な赤に酔う







ひく、と藤原の喉がなる。

そうだ、俺だけ感じればいい。




「本気の魅力、たっぷり見せてやるから

目、俺からそらすんじゃねぇぞ」




藤原のあの瞳が、一瞬だけ艶やかに光って

すぐさま品定めするように細められた。


「それです、それですよ先輩。

私が見て描きたいのは、それです」


『うっとり』、とした様子で見つめ返される。




周りのギャラリーがうるさくなったが、

俺はただ、藤原の予想外の反応に驚いていた。


だがそれ以上に、

興味が強まったのも気のせいではないだろう。











みっつめ、魅せる。





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