渚の平凡物語

格差社会

 人間って流行りもんに弱いなぁ、なんて黄昏てみる。

 木の机にべたっとくっついたまま、砂糖に群がる蟻のようなクラスメイトを遠目に観賞。
 昨日から気力がどうもギリギリラインをキープしているあたしには、熱心に女神に話しかけてるクラスメイトが化け物に見える。何で平気なんだ?

「ねぇねぇ、巴さんって呼んでいい?」
「そんな、他人行儀よ。同い年なんだから、巴って呼んで」

 きゃあーっと教室がざわめいた。
 確かに女子中学生がさん付けで呼び合うのは妙だけど、相手はあの女神様だ。本能で彼女が自分より上の存在だと認めているのだろう。

 先生に連れられてあたしのクラスにやって来た腹違いの姉は、毅然と挨拶を済ませた後、教室のど真ん中に落ち着いた。
 季節外れの転校生が何故に中央? と思うだろうが、彼女のオーラの影響だろうか、普段はあほなことしかしない男子生徒が自ら席の移動を名乗り上げたのだ。女神パワーすげぇ。

 朝の挨拶と連絡事項を軽く済ませた後、綺麗でカリスマ性を放つ姉の元へとクラスメイトは群がった。
 言っちゃ何だが、これだけの同年齢が集まれば、人間性の格が出てくるというもので。見た目や中身によって、人からの扱われ方に差が出てくる。

 例えばリーダーシップのあるクラス委員。
 例えば、人につっこまれてなんぼのおちゃらけ要員。
 みんながふざけ過ぎると、軌道修正を促す真面目さん。

 家庭での立場もあいまって、慣れた役柄に割り当てられていく。それが上手くいくコツだと、子供でも理解してそれに染まっていくのだ。

 学校は社会の縮図。揉め事が起きないよう微調整をした人間関係を皆が目指していく。
 あたし? もちろん目立たず騒がずのモブキャラですが何か?
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