Who am l?
私は昔から、
「うちのパパは世界一強いのよ。」
と言われ、育った。
十歳まで、まともな敬語など聞いたことはなかったし、友達の家にも黒いスーツのおじさんや、変な柄シャツを着たおじさん達がいるものだと信じていた。
つまり、まともな教育を受けてないのである。
ある日、“世界一強いパパ”の父が亡くなり、母がすぐさま再婚して名字が変わってからようやくまともな教育を受けた。
それはたしか中学二年の頃。
あまりにも遅すぎる。
今は教員免許も取り、少しはまともになれたが今でも時折、昔の言葉遣いが戻ってくるときがある。
だが!
今日ばかりはそれは許されない。
なんてったって、デートなのだ。
私は電車の窓に向かって少し微笑んだ。