Who am l?

手慣れた操作を次々にこなしながら十万を引き出す。


この十万は私の月の給料の約三分の一であり、これだけの金額さえあれば一ヶ月分の家賃も払えてしまうのだが、今日はなんの躊躇もなく使いまくる。


なんたって、今日はーーー…


「あっ、やば!」


腕時計に目をやると、とっくに二時半を過ぎている。


待ち合わせは駅の中の時計台の前。


ここからあまり距離はないが、走っていく訳にはいかないので時間に余裕を持ち、待ち合わせ十分前には時計台に着いているようにするーーーーのが礼儀というものなのだろう。


私は早速、先程のATMへの爆走で乱れた髪の毛と服装を直す。


少し足が痛む。


これまた先程の爆走のせいか、買ったばかりのハイヒールを履いているせいかーー。


しかし、そんな事は言ってられない。


なんたって今日はーーーー


デートなのだから!

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