Who am l?


―――目の前に時計台が見えてくる。


私は腕時計を見て、少し足の速度を落とした。


まだ待ち合わせまでには十五分以上ある。


仮にわにさん歩きで行っても間に合う時間だ。


あくまで「仮」の話だが。


腕時計から時計台の下に視線を移す。


まだ流石に”彼“も来てないはず。


駅の人混みの中からつま先立ちをし、時計台の下の人々を調べる。



時間のせいもあり、そこら中買い物袋を提げた主婦達が行き交っている。

その中に、1人だけ。
長身に黒いダテ眼鏡、髪の毛は茶髪で耳には銀色の宝石が光っている。

ストライプが入ったワイシャツに黒とピンクのドット柄のネクタイ、その上にジャケット、裾に水玉柄が施された七分丈のズボンに茶色いブーツ、という流行りっぽい格好の、男の人が居る。



私は焦ってすぐさま時計台下に駆けつける。


何がわにさん歩きだ。
先程までの自分をぶん殴ってやりたい。



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