君のいる世界

大嫌い





翌日、登校すると校門付近で女子がキャアキャアと黄色い声を上げていた。


これもいつもの光景。


囲まれているのは、生徒会長の中澤大輝。


女子の群れから頭一つ出てる彼の眉間には、相変わらず深い皺が刻まれている。






「谷本さん、おはようございます。生徒会長も朝から大変ですね」



「山下さん…」



ふふふ、と可愛らしく笑いながら手を振ってくる彼女は、1、2年と同じクラスで今年度生徒会書記の山下 佳菜子。



私が唯一、この学園で会話を交わす人物。
山下さんのお父様は某大手IT企業の社長で、彼女もまた生粋のお嬢様。


だけど、その辺の“お嬢様”達とは違う。
山下さんはさっぱりとしていて、偉ぶることも粋がることもしない。


自分の中に決して揺らがない、まっすぐな芯がすっと通っていて、凛とした女性で。


ツヤツヤした長いストレートの黒髪を風に靡かせて、清楚かつ可憐な彼女は、同性の私でも綺麗な人だと思う。


そんな彼女を、顔を赤くして遠巻きに見ている男子も多い。






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