君のいる世界

ー康介sideー





早朝6時。


外はまだ少し薄暗く、静寂な住宅街には鳥の囀りや犬の鳴き声が響く。




俺は車庫から車を出し、黒の高級車の手入れを始めた。


車体、窓、ミラーに付いた指紋や汚れを一つ逃さずに拭き取る。


車内専用の掃除機で隈無く掃除機掛けをし、座布団を叩く。




これが俺の長いようで短い一日の始まり。




俺の仕事は日本有数の谷本財閥社長令嬢の専属執事。


そう言ってもそんな硬いものじゃない。


毎日学園まで送り迎えをして月に二回程度あるパーティーの予定管理や衣装準備と必要ならば勉強を教えたりするぐらいで、あとはトミさんの手伝い。


うちの家系は代々この谷本財閥に仕えてきた。


社長は温厚なお方で、俺を自分の子供のように可愛がってくれてる。


社長令嬢の麗奈とは幼馴染で兄弟のように育ってきた。


俺が麗奈の専属執事になったのは7年前のこと。



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