君のいる世界




俺は当時20歳だった。


T大に見事一発合格を果たし、友達も彼女も出来てそれなりに青春を謳歌していた。




そんなある日、キャンパスがもみじで赤く染まる頃。


麗奈の両親は離婚した。


俺から見て仲が悪かったようには見えなかったから聞いた時は本当に驚いた。


原因はわからない。


離婚成立後、おばさんは谷本家を出て行った。




今でもおばさんが出て行ったあの日のことが忘れられない。


心が引き裂かれそうだった…



ーーーーーーーー・・・・


おばさんが谷本家を出て行く日、俺は見送りに来ていた。



「おばさん…こんな形しか方法はなかったんですか?麗奈はどうなるんですか?」



「…康介君。ごめんね。麗奈を…宜しくお願い…します」



そう言っておばさんは頭を下げた。


目を真っ赤にして下唇を噛み締めたおばさんに、俺は何も言葉を掛けれなかった。



< 127 / 497 >

この作品をシェア

pagetop