君のいる世界




ギィィ……


「あれ?いない…」



生徒会室に入ると、豪勢なシャンデリアは消えていてやや薄暗い。


掛け時計の秒針の音がやけに大きく響いている。




会長は放課後になると毎日ここに寄るのに、今日はもう帰ったのかな…


いつも会長が座ってるソファは主がいなくて寂しさを漂わせている。




「谷本さん?どうかされました?」



扉を開けたまま入口に立ち尽くしていると、生徒指導の先生が怪訝そうにじろじろ見ながら声を掛けて来た。


確かこの先生…会長のクラス担任だった気がする。




「…あの、中澤さんはもう下校されましたか?」



「中澤さんなら本日はお休みですよ?体調を崩されたみたいで」



「え!?あ…そうですか…」




昨日、海水の掛け合いしたせいだよね…


私は先生にお礼を言って昇降口に向かって走り出した。





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