君のいる世界

絶対に幸せにするから…





夏休み明けの学力テストは散々な結果で終わった。


何をやっていても集中出来ない。


こんなんじゃ駄目だとわかっていても、どうしようもなかった。




直幸さんにも連絡出来ずにいる。


私の頭の中は色んな感情でごちゃごちゃで、自分でもよくわからなくなっていた。




そんな日々が続いて、9月下旬。


谷本財閥が経営するホテルで、私の17歳の誕生日パーティーが開催された。


会場の天井には生徒会室よりも何倍も大きいシャンデリアがぶら下がっていて、神々しく光を放っている。


中央にある大きな机には沢山の高級料理が並び、スタッフがシャンパンやワイン、未成年者用にジュース類をそれぞれお盆に乗せて歩いている。




私は真紅のマーメイドドレスに身を包み、出席して下さった方々一人一人に挨拶して回った。


出席者の殆どが「直幸君とお幸せに」だとか「婚約おめでとう」と声を揃えて言ってくる。




その度に、私の胸は痛んだ。


得意の当たり障りのない対応でなんとか笑顔を作っているけど、きっと笑えていない。




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