君のいる世界
私の頬に涙が伝う。
お母さんは口元に笑みを浮かべ、私の涙を指で拭ってくれた。
「お母さん、嬉しいわ。あなたがこんなにも心の優しい子に育ってくれて…泣き虫な所は変わらないけれど」
「私…お母さんと暮らしたい。もう…あんな家にはいたくない…」
「あと少しだけ…待っていてくれる?店を出す時に出資してくれた方に返済が終わるまで。高校卒業する頃には絶対に迎えに行く。約束するわ。お母さんも頑張るから、麗奈もあと一年だけ…」
私の手を握る手に力が入る。
お母さんの目からは強い意志が伝わってきた。
「…ちょくちょく会いに来てもいい?」
「もちろん!」
「わかった。待ってる」
私とお母さんは視線を重ね、頷き合う。
お互いの気持ちを確認するように。