君のいる世界
「一回しか言わないからよく聞けよ?」
「うん」
私が腕の中で頷いた後、更に私を強く抱き締めた大輝は唇を耳元に擦れるぐらい寄せる。
その吐息が妙に色っぽくて、心臓が煩い。
「麗奈……愛してる」
「…っ…!!」
大輝の甘い声が鼓膜を震わせ、全身に痺れを来す。
私、今の言葉があれば生きていける。
この先色んな事があるだろうけど、大輝がいれば何も怖くない。
肩越しに見える涙で滲んだ海は、茜色に染まりキラキラ輝いていた。