君のいる世界
ああ、そうか…
今の風はお父さんなんだね。
お父さんはいつでも何処でも大輝を見守ってくれている。
だから今は苦しくても辛くても、大輝はきっと大丈夫。
私も大輝の隣りに立ち上がり、一緒に空を見上げる。
お父さんが吹かせてくれた風のお陰で、私の中の不安は全てなくなった。
「大輝、帰ろ!お母さんも琴音ちゃんも、春音ちゃんに大和君も。皆待ってる」
心からの満面の笑みで大輝に手を差し伸べる。
すると手を取った大輝は勢いよく引っ張り、私はすっぽりとその腕の中に収まった。
「麗奈。ありがとな」
大輝は私の首元に顔を埋めて、恥ずかしそうに囁く。
そんな大輝が可愛くて仕方が無いのは、私が重症だからかな…
「わ、私何もしてないよ…?」
「ふっ。お前らしいな」
「え?」
大輝の言葉の意味がわからなくて頭の中ははてなマークでいっぱいになった。