君のいる世界




俺はニヤけ顔を抑えるように両頬を数回掌で叩くと、素早く着替えてガソリンスタンドを出た。


自転車に跨り坂道を下ると、冷たい風が肌を摩る。


今日の寒さは今月の最低気温を軽く更新していると思う。




麗奈、ちゃんと暖かくしてっかな…


肉が全くねぇくせに何かいつも薄着だし、細くてすぐ風邪引きそうだし。


明日風邪引いて来なかったら、これはお仕置きしてやんねぇとな。




頭の中で妄想がどんどん加速していく。




俺、こんなに変態だったけ?




麗奈と付き合ってから、自分の意外な一面に驚かされてばかりだった。





家に着くと、いつものように玄関先に春音と大和が駆け寄ってくる。


俺は腰を屈めて頭を撫でてやると、二人はまだ小さい白い歯を見せて満足そうに笑った。







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