君のいる世界




「気になさらないで下さい。家で誕生日パーティーだなんて親が離婚してから記憶になくて…だから凄く楽しいんです」



昔は家族と柳田一家を招いて誕生日パーティーをやってたっけ…


電気消して蝋燭が灯る中、皆に歌を歌ってもらって、一人じゃ吹き消し切れないから康君と二人で吹いたりして。


ホント懐かしいな。




「大輝から聞いたわ。ご両親、再婚なさるんですってね。本当におめでとう。うちの人も天国で喜んでるはずよ」



そう言って「ふふ」っと笑ったおばさんは、ケーキの中央に【春音 ハッピーバースデー】と書かれたチョコプレートを乗せた。







「あ、ケーキ完成したんだ」



キッチンに顔を出した大輝は、残った苺を一つ摘み口にいれた。




「それにしても驚いたわ。あなたがまさかあの麗奈ちゃんだったなんて。お父さんの誕生日にお墓で会った時まで全然気付かなかった」



「あのって?母さん、麗奈に会ったことあんの?」



「あら、大輝も一緒にキャンプ行ったことあるのよ」



おばさんは「ちょっとこっち来て」と手招きしてキッチンを出て行った。




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