君のいる世界

二人で運命を開いていこう





あれから数日が経った。


お母さんの引っ越しも無事に終わり、家に温もりが戻った。




私と父親……お父さんの関係もゆっくりだけど改善しつつある。


今までは視線すら合わせなかったのに、今では時間があればリビングで一緒にテレビを見たり会話を楽しむようになった。




おばあちゃんもよく笑うようになった。


平日の昼間、お母さんの店を手伝うようになって、凄く生き生きしてる。


新商品の開発が面白いらしく、家でも台所に立つことが多くなった。


お母さん曰く、パートやバイトの皆から“調理場の主”って呼ばれるらしい。




ホントに毎日が楽しくて幸せで、たまに怖くなるくらい。







日曜日。


今日は春音ちゃんの9歳の誕生日パーティーに招待され、中澤家に遊びに来ていた。




「おばさん!お皿はこれでいいですか?」



「ごめんね。お客様なのに手伝ってもらっちゃって」



おばさんは大きなホールケーキに苺を乗せる手を止め、「その皿で大丈夫よ」と頷いた。





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