君のいる世界




「私は、会長のことが……好き…」


口をあまり動かさず、ポツリと呟く。


じわじわと私の身体中に…頭のてっぺんから爪先まで、“好き”が広がり浸透していく。




初めて言葉にした自分の気持ち…


確かな想い。




「ふふ。自覚したみたいね」



「……うん」



トクン、トクン…と自分の胸の音が聞こえる。


穏やかだけど力強くて、鼓動するたびに“好き”が深く刻まれていく。



「何か…不思議な気分。ここがキューッて苦しくて泣きたくなるのに…幸せ…」



胸に両手を当てて目を閉じた。




自分の気持ちを認めた途端、会長への想いがどんどん強くなる。


私…予想以上に会長のことが好きだったんだ。


あんなに嫌な事されたのに…


たった数時間でこんなにも気持ちが変化するなんて思ってもいなかった。



「それが恋愛なんだよね…何が起きるかわからない」



私はフォークに刺さったままの卵焼きを口に入れた。




ふわふわで、甘くて。


今の私の心のようだった。





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