† of Ogre~鬼の心理
ヤツの気配はアルの蝙蝠の監視によると、どうやら住宅街の南区辺りで停滞しているらしい。

そこに根城があるのか、それともそこから動けないのか、はたまた別途の目的があるのかはわからないが――アルには気になることがあるとのことだった。
 チカラ
「存在の、――回復ですって?」

「いや、回復じゃ、ないんだ」

窓からアルへ振り返ると、首を横に振られた。

四人掛けのテーブル、仁だけが対辺に座っていた。

私達の中にはだれもタバコを喜んでたしなむ趣味はないため、もちろん禁煙席だ。

仁? 仁も基本はスモーカーではない。

アルは、なんとも気難しい顔で言う。

「あれは逆行とか回復とか、再生とかとは違った。『元通り』になったんだ」

「意味がわからんな」

と、私達の中では一番の博識である仁でさえ、この言い様だった。
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