† of Ogre~鬼の心理
それでも彼の笑みはいつもいつでも、固まった蝋のように嫌味で無機質で優しくて――むかついた。

その笑みが初めて崩れた瞬間だから、瞼の裏、脳裏、胸裏を掠めていく。

わざわざ、夢になって。

(お前に、なにがわかるのよ)

夢と同じ問いを、決して聞こえることのない彼へ向ける。

今も私の机の上で、平面に取り込まれながら笑っているのはいけ好かないが……伏せてしまう気にはなれなかった。

覚醒しきれていない目で亡と見つめる朝日の中に、彼の姿が靄になって見えるはずもない。

能力の問題ではないし、彼が白く淡い光に混じって、幽霊になるような甲斐性がないとも言わない。

単純に、彼は幽霊にはれない。

彼はすでに、肉体も魂魄も、この世にもあの世にもないのだから……それは、仕方のないことだ。
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