† of Ogre~鬼の心理
三度の失敗を苦笑で流し、訊ねた。

「君は僕に話がある、そうだね?」

『はい』

「そしてそれは、真輝ちゃん……東城真輝に関連することだね?」

『はい』

「じゃあ、それを話してもらえるかな?」

『それが、それは、その……』

また、そこ、か。

頭を掻きたくなってくる。仁ならすでに怒鳴っている頃合いだろう。僕もさすがに痺れが切れてきた。

隣のデスクでは、内村が眉根を失笑に歪めている。風間くんの声が聞こえなくとも、同じところで会話がループしていることには気付いているらしい。

「質問を変えようか、風間くん」

やれやれ、と肩を竦められるだけの間を置いて、作戦を変更した。

「君は僕に話があって、それは東城真輝さんに関連することだ」

『はい』

「そしてそれを僕に話したい。あるいは、さっきの質問を繰り返すことで、なにかしら僕から聞き出したい。そうだね?」

『はい』

「じゃあ、なぜそうしないんだい? このいたちごっこには意味があるのかな?」

『ないです』

「ないの?」

『ないんですっ!』

それは二度とも、まったくの即答。どころか、このいたちごっこ自体、本人の意図するものではないという叫びすら含まれていた。
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