† of Ｏgre～鬼の心理
「ごめん、聞き間違えたみたいだ。今、なんだって？」

『藤岡悟くんです』

「なにが？」

『僕の発言を強制的にコントロールしているのは、藤岡悟くんだって、そう言ってるんです』

「…………あー……」

どうしよう、僕は今、ひどく間抜けな顔になったろう。

ひょっとすると僕は、とてつもなく無駄な時間を過ごしてしまい、とてつもなく頭のイカれた少年を、とてつもなく見事に振り返らせてしまったのではないだろうか。

ハロウィンにやって来たお化けがイタズラをやめてせっかく帰ろうとしたところを、無理に引き止めた挙句、下手をして家に上げてしまった。そんな気がした。

『運命付けられてるんです。悟くんがそうしたんです』

と、風間くんは続けた。

軽く失笑とともに呆然としている僕の耳に、彼の声がつるつる入ってくる。

『悟くんは運命付けたんです。今日、東城さんと自分が接触するように。悟くんは今日、東城さんの身に起こることを予測して、運命付けたんです。そして僕に今、口止めを……！』

聞き捨てならない単語が、かりかりと僕の鼓膜を引っ掻いた。
< 228 / 414 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop