† of Ogre~鬼の心理
電話をかけてきた当初からそうだったけれど……どうにも風間純という少年は、世間ずれしている気がした。

頭はいいけど、常識力に欠けるというか……。

そういえば、真輝ちゃんの慕っていた藤岡少年も、そうだった。

(真輝ちゃん……君は奇妙な友達ばかりいるなあ)

彼女の学校生活が少し気になる。でも、今はそっちに思いを馳せている場合じゃない。

ケータイをジャケットの胸ポケットにしまった僕は、ズボンから付箋を取り出した。

幾何学模様の向こうの彼女は、僕が返答しないことに腹を立てたのか、低く低くウォンウォンと唸り、なにやら嫌味ったらしい文句まで言い始めている。

じじぃだのロリコンだの、あまつさえ変態だのと、それはそれはえらい言われようだ。

漢字のような、落書きのような、ミミズの這った跡のような、僕にはおよそ理解できないバランスと秩序で描かれた〝千約〟の模様が、その言葉に合わせてほうほうと紅く点滅している。

まるで竜の鼻息を電子化したみたいだ。

< 248 / 414 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop