† of Ogre~鬼の心理
地上を舐め回すキュービズムアートは、ほんの一瞬の発光だけを経て、消える。いいや、土地へ染み込んだのだ。『定義』されて。

《よし。準備はいいぞ》

仁が、頷く気配。僕も少し感嘆していた。

そういえば彼女は魔術師から魔法使いになったと聞いた。

さすがに魔術の基礎となる魔法陣は、お手の物らしい。昨日の夜から仕込みを行っていただけあって、発動もその制御も、なんの支障もない。

いや、彼女ほどの手練れなら、たかが魔法陣の起動程度にてこずるわけがない、か。

もしかしたら現地にいるあの女さえも、真輝ちゃんにかかりきりで今の一瞬、なにが行われたか理解できなかったかもしれない。

それほど、仁の魔法陣は土地に染み込むのが早かった。

さすがは草薙仁……〝千約〟の異名は、決して伊達や張りぼてなんかじゃない。

そう、魔法陣の起動だけで思わせてくれる。
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